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「ミスが心配」「現金給付の方がいい」 定額減税まで1カ月 栃木県内自治体、企業ため息|下野新聞 SOON

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 岸田文雄(きしだふみお)首相が物価高対策の目玉として打ち出した定額減税は、6月1日の開始まで1カ月を切った。所得税と住民税の4万円が差し引かれるが、対象者の絞り込みや支給業務が複雑で、実務を担う県内の市町や企業からは「事務が負担」「ミスが心配」などと懸念の声が漏れる。国がどこまで経費負担するか不安視する声もあり、「現金給付でよかったのではないか」という不満も出ている。

 「制度が非常に複雑。担当職員からミスを心配する声が上がっている」。小山市市民税課の担当者は職場の現状を明かす。定額減税の業務に加え、通常の課税業務も重なり「同時進行が困難を極めている」と嘆息する。

 岸田首相が定額減税の実施を表明したのは昨年10月で、具体的な内容が市町に伝わったのは年末だったという。多くの自治体は、従来の税徴収システムの改修を迫られた。那須塩原市課税課は「予算措置も必要で、年明けはバタバタした」と振り返る。

 国は定額減税で落ち込んだ税収を交付税で措置するとしているが、財政負担への懸念は拭えていない。県南の自治体は「さまざまな事務経費がかかっているが、(国の財政支援で)全額賄われるのか」と気をもむ。

 複雑な制度は企業の事務作業も増やしている。4月中旬に宇都宮税務署が開いた説明会では、企業の総務担当者らから「中途入社した人への対応は」「年内に(定額減税分を)控除しきれなかった人はどうなるのか」といった疑問が次々と寄せられた。

 説明会に参加した宇都宮市の医療関係会社の総務担当者は「給与支払いソフトの担当者と対応を話し合う。準備期間が短くて不安だが、間に合わせるしかない」と話す。

 同市の電気工事会社勤務の40代男性は「景気対策というなら、ややこしい制度にせず現金給付の方がいい」と指摘。県北の自治体担当者も「恩恵が見える一律給付でよかったのではないか」と政府の方針に首をかしげた。

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