< Back to 68k.news JP front page

政治とカネ問題 改革巡り自民に厳しい視線 対応後手 具体案示されず  | 山陰中央新報デジタル

Original source (on modern site) | Article images: [1] [2] [3] [4] [5]

岸田文雄首相の街頭演説に耳を傾ける聴衆。政治改革を巡り、自民党に厳しい視線が注がれている=21日、出雲市平田町

 衆院3補選で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る「政治とカネ」の問題が最大の争点になる中、自民の姿勢に島根1区の支持者や有権者が厳しい視線を送っている。他党が政治改革の具体案を示すのに対し、後手に回っているためだ。具体案を急ぎ、今週中に示す見込みだが、唯一の与野党対決となった島根1区を含めて劣勢が伝えられる補選の挽回策になるかどうかは見通せない。

 「政治とカネの問題で、恥ずかしい気持ちでいっぱいだ」。21日に安来市内であった自民の「政治刷新車座対話」で男性党員が怒りを伝えると、岸田文雄首相は神妙な面持ちでうなずいた。

 裏金事件への有権者の反発は強い。山陰中央新報社が20、21の両日に実施した島根1区の情勢調査で、7割が投票の際に裏金事件を考慮すると答えた。

 「保守王国」での議席死守に向け、新人候補の応援に入った党幹部らは謝罪を繰り返す一方、政治改革に向けては「ゼロから出直す覚悟を持ってしっかりと取り組む」など意欲を述べるにとどまる。

 21日に島根入りした首相も松江、出雲両市などでの街頭演説で「党総裁として心からおわび申し上げる」と陳謝。今国会会期中に政治資金規正法を改正する考えを重ねて示したものの、具体策には触れず、出雲市内で演説を聴いた会社員男性(48)は「もう少し踏み込んでほしかった」と残念がった。

 規正法改正を巡っては、自民と野党の立場の隔たりは大きい。自民は議員の厳罰化や第三者による監査徹底、デジタル化による政治資金の透明性向上を重視。一方、野党は政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止のほか、使途公開が不要な政策活動費の廃止など自民より踏み込む。

 島根1区に元職を擁立した立憲民主党は攻勢を強める。21日に松江市内でマイクを握った泉健太代表は「自民は裏金事件の処分も、真相究明も、政治改革案も遅れている」と批判した。

 自民は当初、規正法改正の独自案作成を見送り、連立政権を組む公明党との協議に臨む構えだったが、公明の圧力や野党の反発を受け、方針を転換。首相は22日の衆院予算委員会で「今国会で間違いなく規正法成立に向けて作業を進めていく」と言及し、自民の改革原案を今週取りまとめ次第、与党の考え方を国会に提示する考えを表明した。

 ただ、与党協議の行方は見通せない。自民は23日にも改革原案を取りまとめる方針だが、議員に連帯責任が課せられる「連座制」の導入や政策活動費の使途公開など公明が重視する対策には否定的な意見があるためだ。

 衆院補選は終盤戦に入り、28日に投開票を迎える。島根1区の自民選対幹部は「具体的な改革案を訴えてもらわないと信頼回復につながらず、候補の訴えも浸透しない」と漏らす。

 21日の車座対話で「自民党を信じてよかったと思われるように、強い覚悟を持って臨む」と誓った首相に対し、男性党員は裏金事件で逆風を受ける選挙戦の実情をこう説明した。

 「保守王国・島根は過去のこと。(対応の遅れが)党員の選挙活動に大きな影響を与えている」(原田准吏、佐々木一全)

< Back to 68k.news JP front page