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害虫の広がり | 中国新聞デジタル

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 車のドアを開けようとした手を思わず引っ込めた。きれいな緑色をした何かが、取っ手に沿って動いている。カメムシである。ドライブが台無しになるところだった。刺激しないよう息を吹きかけ、飛び去ってもらう。臭いは残さなかった▲青リンゴに似た匂いを出すのもいると聞くが、それでも触りたくはない。いずれにしても初夏に出くわすとは。どうやら目にしたのは冬を越した個体らしい。鳥取県では越冬した数が過去最多であると分かったそうだ▲暖冬だったため身を潜めていて生き延びたか。産卵した後に寿命を迎えるものの、次世代がすくすく育てば、ことしも大発生の恐れ。洗濯物に付くのも困るが、稲の養分や果汁を吸うカメムシも。農家を悩ませるかもしれない▲カメムシの仲間も家に入れたくない。人を刺して血を吸うトコジラミだ。人の往来が世界規模で増えたため、被害が国内外で急増。宿泊先で衣類などに付いたのを、家に持ち込んでしまう。触れるとやはり悪臭を放つ▲害虫の広がりは他にも伝えられる。原因をたどると温暖化などを招く人間の活動に行き着きそう。快適さの追求をやめられないなら、うまく付き合っていくしかあるまい。

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